三洋電機連合健保より
「賢く選んで油を味方に!」
調理で使用する油にも、様々な種類があります。きっかけがなければ、毎回同じものを選びがちですが、特徴を知って賢く選べば、実は油も健康管理の味方になります。
そこで今回は、『油の種類』に関するお話です。
◆見える油脂と見えない油脂
食用のあぶらは、常温で液体の油と、常温で個体の脂に分けられ、あわせて油脂と呼びます。そして、私たちが日頃摂取している油脂には、植物油やバターなどの「見える油脂」と、肉や魚、乳製品、菓子類などの含まれている「見えない油脂」があります。日本人の摂取割合では、「見える油脂」は20パーセント程度で、「見えない油脂」は80パーセント程度と言われています。「見えない油脂」は特定の食品に偏らず、摂り過ぎないように注意しながら、「見える油脂」は目的に応じて賢く選び、健康管理に役立ていくことが必要です。
◆注目の油、話題の油
油の健康効果に着目して、注目の油や話題の油をいくつかご紹介します。
【ごま油】
強い抗酸化作用でがんや老化、動脈硬化を抑制するリグナンを多く含む酸化しにくい油。特有の香ばしい香りと濃厚なコクが特徴で、加熱にも強いため、炒め物や揚げ物、ドレッシングなど幅広く利用できる。
【オリーブ油】
血液中のLDL(悪玉)コレステロール低下作用があるオレイン酸を多く含み、酸化しにくい油。エクストラバージンオイルは一番絞りで風味が高く、ドレッシングやマリネにお勧め。ピュアオイルは炒め物や揚げ物に。
【ココナッツオイル】
体内でエネルギーとして利用されやすい中鎖脂肪酸を多く含むため、体脂肪として蓄積しにくい。炒め物やお菓子作りにバターの代わりに使うと良い。
【エゴマ油】
シソ科の植物、エゴマの種子からとる油。血液中のコレステロールや中性脂肪値の低下、動脈硬化予防、アレルギーを抑制するa?リノレン酸を多く含む。酸化しやすく、独特の風味があるため、ドレッシングや和え物などに少量使用するのがお勧め。
油も種類によって含まれる成分が違うため、基本となる油(サラダ油、キャノーラ油など)を決め、その他2?3種類組み合わせて使用していくと、脂肪酸のバランスも良くなると考えられます。
◆油を使用した調理のポイント
油を使用した調理では、油のコクや香りが加わることで、塩分控えめでも美味しく仕上がるというメリットがあります。一方、油は1グラム当たり9キロカロリーと、炭水化物やたんぱく質と比較してエネルギーが高いため、使用量には注意が必要です。また、油は酸素や光、熱、金属などの影響で、過酸化脂質を生成します。過酸化脂質は、がんや老化、動脈硬化を促進するなど健康に害を及ぼすことがあるため、油の保管や使用法にも注意が必要です。
◆最後に
世界での油の歴史として、エジプトピラミッドから油脂を使用した痕跡が発見されるなど、人類は数千年以上も昔から、油を利用していることが分かっています。日本でも、日本書記に「ハシバミの実から油をとった」という記述が残されていますが、当時の油は、限られた階層の人のものでした。
現在は、様々な種類の油が流通していますが、正しい知識をもって、毎日の食卓に賢く取り入れたいものですね。
以上
マダニの感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に注意しましょう!
最近、マダニの感染症で亡くなったというニュースが多く見受けられます。そこで、今回は「マダニの感染症」に関するお話です。
◆重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは
平成23年に初めて特定されたSFTSウイルスに感染することにより引き起こされる病気で、主な症状は発熱と消化器症状で、重症化し死亡することもあります。
SFTSウイルス自体は、以前から国内に存在していたと考えられますが、平成25年1月に初めての症例が確認され、現在までに全国では23府県で299例(うち60例で死亡)の症例が確認されています(平成29年8月30日現在)。
◆感染経路
多くの場合、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染していますが、感染患者の血液、体液との接触感染も報告されています。また、インフルエンザなどのように容易に人から人へ感染して広がるものではないとされています。
◆症状
マダニに咬まれてから6日から2週間程度の潜伏期間を経て、主に原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が出現します。
時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)を起こします。
◆予防方法
SFTS等マダニが媒介する感染症を予防するためには、マダニに咬まれないようにすることが重要です。特に、マダニの活動が盛んな春から秋にかけては注意が必要であり、農作業、レジャーや庭仕事など野外で活動する際には、次の点に注意が必要です。
・長袖、長ズボンなどを着用して皮膚の露出を避け、ズボンやシャツの裾などを入れ込んでマダニの入り込みを防ぐ。長靴を履くのも効果あり。
・屋外活動後は、体や服を叩き、マダニに刺されていないか確認する。
・帰宅後は、すぐに入浴して身体をよく洗い付着したダニを落とし、衣服は洗濯する。
【ワンポイント】
マダニは、身体にとりついてすぐに刺すのではなく、体のやわらかい部位をさがして刺す習性があります。脱いだ衣服は放置せずにすぐ洗濯するか、ナイロン袋等に入れて口をしばっておく。吸血中のマダニを見つけた場合は、できるだけ医療機関で処置する。
【ワンポイント】
・マダニ類は体部をつまんで引っ張ると口器がちぎれて皮内に残ってしまうことがあるため、口器を残さない方法でマダニを除去する必要があります。
・マダニをつぶしてしまうと、そのマダニがもし病原体を持っていた場合に感染するリスクがありますので、マダニはつぶさず慎重に除去する必要があります
◆最後に
秋の行楽シーズンは、外に出歩く機会が増えると思います。備えを十分にして、秋を満喫しましょう!
備えよう、転ばぬ先の杖!
皆さん、1年の間で転倒事故が多いのはいつかご存知ですか? 想像がつく方もいらっしゃると思いますが、2月が最も多く、積雪や路面の凍結などが原因となっているということです。そこで今回は『備えよう、転ばぬ先の杖!』と題して、冬の転倒予防対策に関するお話です。
◆冬場に滑りやすくなる場所
まず、滑りやすくなる場所はどのようなところになるのかご紹介します。
?圧雪(バスやタクシーの乗り場など)
踏み固められた雪のことで、表面のみ凍ってつるつるとした光沢ができ、大変滑りやすい状態となります。圧雪は、降雪が1cm以上あり、雪が降った後早い時間(おおよそ24時間以内)に形成されます。
?アイスバーン
氷のようになった路面のことで、透明又は黒く見え、非常に滑りやすい状態となります。前日の最高気温が0℃未満の場合に出来やすい路面凍結現象です。
?横断歩道の白線の上
白線部は、乾いているように見えても薄い氷膜が出来て、滑りやすくなっている場合があります。?車の出入り口のある歩道
出入りする車のタイヤで路面上の氷が磨かれ滑りやすくなります。
?坂道
坂道は、上るときよりも下るときのほうが、滑って転びやすくなるため注意が必要です。
?ロードヒーティングの切れ目
雪や氷がとけず段差が出来ていたり、部分的に滑りやすい状態となることがあります。
◆積雪や路面凍結時の歩き方
次は、歩き方の注意点についてです。
?小さな歩幅で歩こう!
歩幅を小さくし、そろそろと歩く「ペンギン歩き」がオススメです。身体の揺れが小さくなり転びにくくなります。
?靴の裏全体を路面につける!
身体の重心をやや前に置き、出来るだけ靴の裏全体を路面につける気持ちで歩きましょう。
?適した靴を選ぶ!
靴底に滑り止め剤が入っているものや、ピン・金具付きのもの、溝の深いものなどがオススメです。
◆最後に
今季は、特に西日本に雪が降る日が多くなっています。日頃から天気予報に気を配り、寒波が予想されている場合には、滑りやすい場所に融雪剤の散布を行うなどの対応もしておきましょう。また、時間に余裕を持って動き、場合によっては、不必要な外出を控えるなどの判断も時には必要です。
「備えあって憂いなし」、まずは日頃から運動や活動を取り入れて身体機能を維持していくことも大切ですね。
以上
お粥の効能について
あけましておめでとうございます。本年も健康に関する情報を皆様にお届けしますので、よろしくお願いいたします。
さて、今年最初のテーマは、お正月の食べ過ぎや飲み過ぎで疲れた胃を優しくいたわる効果があるといわれる七草粥を代表とする『お粥』の効能についてご紹介したいと思います。
◆お粥の効能と効果「十徳」
お粥の効能と効果は昔から知られ、先人達は、これを「お粥の十徳」と尊称してその効能と効果を健康のために活用してきました。お粥は消化にも良く、風邪、胃腸病、二日酔いなどにも、とても効果的な効能があります。
「お粥の十徳」は、正しくは「粥有十利(しゅうゆうじり)」と云って、道元禅師が『僧祇律(そうぎりつ)』という仏典から引用されており、次に挙げる十項目を指します。
<お粥の十徳>
・血色を良くする ・胸のつかえが治る(胸焼け、胃重)
・力を得る(栄養吸収が良い) ・風邪が治る
・寿命を延ばす(延寿の効果) ・空腹が癒える
・苦痛がない ・のどの渇きが消える
・言葉がはっきりする ・大小便の通じが良くなる(消化も良く、水分も足りる)
修行僧が朝食として「お粥」を食するのは、お粥のありがたいパワーを熟知しているためかもしれません。
◆日に一度のお粥で健康に
今年も風邪やインフルエンザが流行っていますが、罹患した際は、食欲をなくしたりしがちです。そんな時でもお粥ならば食べられますから病人食にも最適です。
日本ではお寺などの一部を除き、風邪を引いた時などにしかほとんど食べられていないお粥ですが、中国や韓国に於いては、ご馳走として贅沢なお粥が食生活に取り入られ、また各種の薬膳お粥の効能を健康に活かしています。
お粥は、まさに、病人食というより日常の食事にこそ取り入れるべき健康食だと思います。
『医食同源』という言葉をご存知だと思いますが、医療と食事は体を良くするということでは同じものであるという考え方をいいます。普段、何気なく食べている食べ物にはそれぞれ体にいい成分が数多く含まれています。現在、いろいろな健康食品やサプリメントなどが出回っていますが、そのような補助食品に頼るのではなく、毎日食べる食事に気をつけることで体の内側から健康にしていきたいものです。
以上
胃酸が逆流する病気!?
12月は忘年会、1月は新年会と、何かと外食の機会が増える方も多いのではないでしょうか?外食は、家で作る食事に比べると高脂肪・高カロリー食になりがちです。
今回は、高脂肪食に代表される食生活の欧米化によって近年日本で激増している病気、『胃食道逆流症』に関するお話です。
◆胃食道逆流症とは
胃酸は胃に入ってくる食べ物を溶かすほど強力ですが、胃壁は粘膜で保護されているため、自らの胃を溶かすことはありません。ところが食道には胃壁のような防御機構がないため、胃酸が食道へ逆流すると、炎症や潰瘍などが生じることがあります。
炎症や潰瘍、症状などの有無によって、胃食道逆流症は2種類に分けられます。
【逆流性食道炎】
自覚症状の有無に関わらず、食道に炎症が生じているもの
【非びらん性逆流症】
食道に炎症は生じていないが胃液の逆流があり、症状が出ているもの
◆どんな症状がでるの?
症状としては、次のものがあります。
〇胸焼け
〇口が酸っぱくなる感じ
〇のどの痛みやつかえる感じ
〇しわがれ声になる
〇胸痛
〇喘息発作のような咳 など
また、これらだけでなく、次のように日常生活にも影響があります。
〇夜ぐっすり眠れない
〇気分がさえない
〇食べたいものが食べられない など
◆どうしたら予防・緩和できるの?
胃酸が逆流しやすくなる原因としては、食道と胃の間の筋肉が緩む、胃酸が増えるなどが挙げられます。逆流の予防・緩和のため、日常生活では次の事項に気を付けましょう!
〇ベルトやコルセットなど、お腹をきつく締め付けるのはやめる
○猫背を改善する
〇肥満を解消する
〇食べすぎない
〇タバコやアルコールを控える、もしくはやめる
〇コーヒーや香辛料、酸っぱいもの、油っこいものを控える
〇食後2?3時間は横にならない
〇就寝時は右向きに寝るか、上半身が少し高くなるようにして寝る
〇自分なりのストレス発散法を見つけ、実践する など
◆最後に
胃食道逆流症は、ただ胃酸が逆流しやすくなって、胸焼けなどが起こるだけの病気と考えてはいませんか? 実は放置すると睡眠障害や食道がんにかかるリスクが高まると言われています。気になる症状がある方は、一度近くの医療機関で診てもらいましょう!